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2021 Jun 07
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オーストラリアの事例から学ぶ在留外国人に対する言語保障

 2019年4月、改正出入国管理法に基づき在留資格「特定技能」が新設され、日本政府は外国人労働者の受け入れに大きく舵を切りました。従来の技能実習制度が、”外国人材の育成と開発途上国への技術移転を目的とした期限付きの研修制度”であったのに対して、「特定技能」は”深刻な労働力不足の解消”を目指しており、一定の条件を満たした外国人材が家族を呼び寄せて日本に定住できるようになります。いまや日本は、ドイツ、アメリカ、イギリスに次ぐ『世界第4位の移民大国』と言われており、外国人材「受け入れ国」です。

 上記の法改正に合わせて施行された日本語教育推進法では、国や地方自治体、事業者が在住外国人の日本語教育の責務を負うことが明記されました。これにより、在留外国人に対する日本語教育環境は少しずつ良くなっていますが、働く場所や住む地域によって格差があるのが現状です。

 今回は、多くの移民を受け入れてきたオーストラリアの事例から、在留外国人に対する言語保障に関して日本が学べることを考えたいと思います。

・オーストラリアの移民に対する言語教育

①最大510時間の授業が、無料で受講できる

 オーストラリア政府の提供する成人向け英語教育プログラム(AMEP:Adult Migrant English Program)では、移民・定住者・難民が生活や就労に必要な英語教育や支援を受けられます。

 オーストラリアでの在留資格(ビザ)を所有しており、十分な英語力がない人が対象で、最大510時間のレッスンをすべて無料で受講することができます。また、ボランティアのチューターによる指導を受けることもできます。

 対して、日本の文化庁は在留外国人への日本語教育プログラムとして、60時間のカリキュラムを目安としています。日常生活で最低限必要な日本語能力を獲得することを目標にしたものですが、オーストラリアと比較するとこの時間数は不十分だと思います。

②認可を受けた英語教育機関

 このプログラムを実施するのは、政府の認可を受けた英語教育機関であり、外国語として英語を教える専門性のある講師が英語を教えます。

 対して、日本の日本語教室は、その多くがボランティアによって運営されています。近年、ボランティアの養成講座や研修等が増えたこともあり、日本語教育の専門性を持つ方々も多くいますが、専門性のある方々を、ボランティアではなく日本語教師として雇用し、集中的にプログラムを行うことでより質の高い日本語教育を提供できると考えます。

③学習が続く仕組み

 このプログラムはオーストラリア国内にある300の認定教育機関で受けることができ、希望する人はオンラインでも受講できます。また、子育てをする親のために、受講中に無料の保育サービスが受けられたり、働き方に合わせて平日と週末のコースを選べたり、学習が継続しやすい仕組みになっています。

 対して、日本の日本語教室は地方自治体に運営が任されており、住んでいる場所によって日本語教育の質にばらつきがあります。また、自分の都合と日本語教室が合わなかったり、昨今のコロナ禍で教室の運営が止まっていたり、学習環境が整っていません。地方自治体や地域の日本語教室に教育を一任するのではなく、国として日本語教育プログラムを再考し、持続可能な形で運営できる仕組みを作る必要があると考えます。

 前述の「特定技能」資格の新設により、今後日本に定住する外国人労働者の増加が見込まれます。“いずれ国に帰る存在”だからといって日本語教育を軽視するのではなく、“日本社会を共に創る仲間”として受け入れ、彼らが日本語を学ぶ権利を保障すべきです。在留外国人への日本語教育のさらなる整備を望みます。

参考文献

Australian Government Department of Home Affairs," Adult Migrant English Program (AMEP)" (2021年6月6日閲覧)

朝日新聞GLOBE+, 「なんと「510時間までなら無料」 豪州の移民向け英語プログラムとは」,2019年5月22日

文化庁,「生活者としての外国人」のための日本語教育事業 地域日本語教育実践プログラム

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